茨城県は関東でも鉄道にあまり恵まれていない県だ。
主要幹線は「JR常磐線」のみ。
新幹線にいたっては県西の古河市付近を東北新幹線がかすめている程度。
新幹線が県内を走りながら新幹線の駅がない唯一の県になっている。
その鉄道に恵まれていない茨城県において大都市圏にある民営鉄道以外で路線の延伸計画が持ち上がっているローカル線がある。
都内(上野駅)から常磐線に揺られて県都の水戸駅の次に「勝田駅」がある。
「勝田駅」はひたちなか市内の駅だがもともと勝田市という自治体であった。
今回の目的地である那珂湊市と合併してひたちなか市になっている。
この勝田駅から伸びている路線が「ひたちなか海浜鉄道湊線」だ。
終点の阿字ヶ浦は大洗海岸と並ぶ茨城県の海水浴スポットでもある。
14.3kmを27分かけてのんびりと走っていく。
はっきりといってローカル線特有の単調な車窓だ。
海浜鉄道といいながら海岸沿いを走ることもない。
「おすすめのローカル線」としては少々役不足の感も否めない。
ではこの路線をなぜ今回取り上げたのか?
実は先ほど触れた延伸計画にも関係がある。
そもそも鉄道を延伸する場合は「人口増」や「企業誘致」の要因が多い。
でもこの地域は確実に人口が減っている地域でもある。
また茨城北部は日立関連の会社が多いがそのための延伸でもないのだ。
この路線が目指すのは終着駅のおよそ3km先にある「国営ひたち海浜公園」だ。
この公園の名前を知らなくてもゴールデンウィークの10連休に常磐道が大渋滞を起こした事はご存じだろう。
皆さんの目的はこの公園内にある青い「ネモフィラ」畑だ。
俗に言われている「インスタ映えの聖地」になっている。
この特需に第三セクターで主要株主であるひたちなか市と茨城交通株式会社が延伸を決断したというわけだ。
このインスタブームがいつまでも続くかは不明だ。
また全国の公園が同じように「ネモフィラ」に取り組み可能性もある。
ただ鉄道ファンとしては動機はどうあれローカル線を残す姿勢は非常に歓迎である。
延伸目標は2024年の様だが延伸をする前に現行の終着駅である阿字ヶ浦駅を見に行ってみてはいかがだろうか?
むしろこの駅舎をバックに写真を撮るほうが「まぼろしの終着駅」として将来のインスタ映えを期待できるような気がする。
インスタグラムをはじめとするSNSは飽きっぽい文化である。