EU離脱が10月末まで延長して一息ついているイギリス。
思えばかつての大英帝国もかなり切迫した状況下にある。
果たして一息ついている時間があるかも疑問だ。
合意無き離脱だけは避ける必要があるだろう。
ところで明治政府が近代国家のお手本としたのがイギリスだった事は有名な話だ。
当時のフランスやアメリカがすでの大統領制に入っていた時期だ。
天皇がいた日本にとっては立憲君主制であったイギリスの模倣がもっとも合理的であると判断したのかもしれない。
「議会制民主主義」に「左側通行」、外国語も「英語」になっている。
議会制民主主義については概ね多くの国がイギリスをお手本にしているので違和感はないのだが、理解に悩むのがまず「左側通行」だ。
世界的にこの「左側通行」を採用しているのは55の国連承認国家および地域である。
日本、イギリス以外で有名なところをあげてみると「香港」、「インドネシア」、「インド」、「シンガポール」、「南アフリカ共和国」、「オーストラリア」、「ニュージーランド」、「アイルランド」、「ジャマイカ」などになる。
概ね統治した国家なのだが旧オランダ領だったインドネシアなどは非常に理解に苦しむところだ。
ちなみに日本の左側通行はイギリスを模倣したというよりも江戸時代から根付く武家文化に由来しているところが大きいらしい。
当時の武士は右手で刀を使うために左腰に刀を差していた。
右側通行で刀の鞘がお互いに当たる事を避けるために暗黙の了解で左側通行を確立されていたというのだ。
これは有名な話なのでご存じの方も多いだろう。
それでは外国語としてなぜ「英語」を採用したのか?
もちろん現在でも英語を第一言語としている国は12ヶ国にもおよび人口は3億4000万人にもなる。
ところがヨーロッパに目を向けると英語圏と呼ばれる地域はかなり限定されてしまう。
今回のイギリスのEU離脱に伴う日本企業のヨーロッパ本社の移転騒動もイギリス以外に英語圏が少ない事に起因しているのだ。
結果として英語を採用した当時の判断は間違っていなかったのだが、もしアメリカが英語圏でなかったらフランス語やドイツ語の可能性もかなりあったはずだ。
日本と似た小さな島国なのに大英帝国を築きあげたイギリスへのあこがれもあったのかもしれない。
そんな由緒あるイギリスの早い復活を期待したいところだ。