JR九州には幹線と呼ばれる「本線」が3本ある。
鹿児島本線、長崎本線、そして日豊本線だ。
厳密には山陽本線が門司まで走っている。
また久大本線、豊肥本線、筑豊本線などは本線を名乗っているが現在のとり扱いは「地方交通線」である。
今回は九州新幹線開業にともない若干日陰側になってしまった日豊本線を取り上げてみる。
昔、金曜夜東京発の新幹線で小倉駅まで行き最終の特急ソニックにちりんで旅をしたことがある。
現在では走っていないようだが当時の最終のソニックにちりんは宮崎行きで大分駅で停車して時間調整をしていた。
そして早朝の宮崎駅に着くのだ。
当時は東国原知事の人気で宮崎市が脚光を浴びていた時期だ。
早朝の宮崎市内を歩いて宮崎県庁にも訪れた。
等身大の東国原知事のスタンドに観光客が集まっていた記憶がある。
さて日豊線の魅力はここから先にあると思っている。
宮崎駅発鹿児島中央駅行きの「特急きりしま」に乗り込む。
当初は山あいの風景が続く。
そこに都城盆地が開けて都城駅に到着する。
日本の市区町村名に「都」がつく街はいくつかあるが京都市の次に大きいのはこの都城市だろう。
人口でいえば僅か16万程度だがとにかく宮崎以南はあまり大きな街がないので都城市は非常に大きく感じる。
お隣の西都城駅まで高架になり街の全体像も見渡せる。
やがて宮崎県を抜けて鹿児島県に入る。
錦江湾を望む頃になるとこの旅のクライマックスが始まる。
もしこの路線に乗るなら進行方向の左側に乗るべきだろう。
海に浮かぶ桜島の美しさに圧倒されるはずだ。
自分は国内のいろいろな鉄道に乗ってきたがこの感動は北海道の根室本線の「別寒辺牛湿原」を走った時に匹敵すると思っている。
鹿児島市内から撮影される桜島が一般的だがこの海の上に浮かぶ桜島はまるで火山が海から突き出ているようにも見える。
もし機会があったらぜひ見て欲しい風景だ。
ところで余談だが日豊本線の起点は小倉駅で終点は鹿児島駅だ。
鹿児島本戦の起点は門司港駅で終点は同じく鹿児島駅だ。
そう九州最南端の終点駅は鹿児島駅なのだが、この駅は現在鹿児島市内の中央駅ではない。
新幹線の停まる鹿児島中央駅が中央駅になっている。
だから日豊本線で宮崎方面から下ってくる電車で鹿児島駅停まりは存在しない。
すべてひとつ先の鹿児島中央駅になっている。
時代の栄枯盛衰を感じる路線でもあるのだ。