子供の頃、時々近くの銭湯に行った。
今と違って自宅にお風呂がまだ普及していなかった時代だ。
自分が住んでいた街にも数軒の銭湯があったし結構賑わっていた。
さて銭湯に行くと必ず目にするのが「ケロリン」の広告が入っていた湯桶だ。
黄色ベースに赤いケロリンの文字が映える。
一回の入浴で数十回目にする事になる。
広告効果があったからあれだけ普及したのだろう。
実をいうとこのケロリンの湯桶は銭湯のみならずゴルフ場やユースホステルなどにも普及していた。
「広告媒体」としては大成功したもののひとつだろう。
「広告媒体」と呼ばれるものは非常に多くある。
一番有名で広告効果が期待できるのは言わずと知れたテレビ媒体だ。
ほかにも新聞、書籍、街中の看板など多岐に渡っている。
中でもテレビコマーシャルは広告代理店がしのぎを削る花形の媒体だ。
一節には某有名広告代理店がテレビのゴールデンタイムの広告枠の60%を押さえているという。
「独占禁止法」などどこ吹く風だ。
とにかく広告は取ってナンボの世界なのかもしれない。
さて大手の広告はさておき昔、お仕事で知り合った方から広告媒体に関する面白い話を聞いた事ある。
「各家庭に無料で配布される広告媒体」があるという。
それもかなりの確率で廃棄される事はない。
その夢のような広告媒体が今となっては懐かしい「電話帳」だ。
特に商売用のイエローページには企業や店舗さんがこぞって広告を出稿していた。
特に「ア行」が人気で各社「ア行」に店の名前を変えることもあった。
やはり日本人は「ア行」から探しものをする事になるからだ。
イエローページを広げて企業や店舗を探している人は「急いでいる人」もしくは「緊急の用事がある人」が多い。
「ア行」にあれば連絡をしてもらえる可能性があがるというわけだ。
当時のNTTは広告の売上で結構潤っていたのではないだろうか?
また広告媒体として非常に理にかなっていたのがカレンダーだ。
カレンダーは一度場所を確保できれば一年間広告スペースを確保することになる。
年末に各社が必死になって取引先に配布するわけだ。
銭湯の湯桶に広告を入れることにGOをだした当時の内外薬品のトップは先見の明があったと思う。
広告とは出稿する側も作り手側もある程度頭が柔らくないといけない。