自分は昔、数年だけ訪問販売の仕事をしていた時がある。
訪問販売は本当に難しい仕事だ。
販売する事も難しいが、それ以前に客と話す機会を作ることが難しい。
当時の上司に教わる訪問販売のテクニックはなんとも抽象論だ。
結論からいえば場数を踏まないと成功できない。
要は訪問販売のテクニックとは「アドリブ」力だと思っている。
客との会話の中で刻一刻と状況が変わる。
その時々で最高の会話の引き出しをいかに開けさせることができるかにかかっているわけだ。
ただ訪問販売の仕事の最近の状況はかなり厳しい。
それは家のガードがかなり厳しくなってきている事だ。
玄関の扉を開ける以前にマンションのエントランスのオートロックを開けることさえ厳しい。
訪問販売のお仕事をとしている方には非常に厳しい時代になっているのが現実だ。
ということで昔は訪問販売の辛さが理解できるので訪問販売の営業マンが来るとついつい話を聞いていた。
だけど必ず最初に彼らに言うことがある。
それは「買わないけれど話だけは聞いてあげる」という事だ。
まず最初にクサビを打っておかないと隙を見てグイグイ入ってくるから厄介だ。
ある日、某有名羽毛ふとんメーカーの訪問販売がやってきた。
若い男性の営業マンだが話を聞くと本日は販売ノルマを達成しており時間つぶしをしているとの事。
そこで日々どんな販売をしているのか聞きたくなり興味本位から玄関の中に入れてしまったのだ。
もちろん「買わないけれど話だけは聞いてあげる」というクサビは打ってありこの営業マンは売り込む事はしなかった。
数分経った時玄関を叩く音がした。
何かと思い玄関を開けるとなんとその営業マンの上司が営業に来たのだ。
中にいた若手の営業マンを見るや「玄関まで入れていただいているのに羽毛ふとんの現物サンプルを持ってこないのはだめじゃないか」を告げて車に慌ててサンプルを取りに行ってしまった。
その若い営業マンは「まずいです。とにかくはっきりと断ってください」と自分に忠告してきた。
それからが本当に大変だった。
その上司の発想でいえば「羽毛ふとんサンプルを持ってきたのになぜ買ってくれないのか」という事だろう。
とにかく断り続けでて最後は羽毛ふとんサンプルをしぶしぶ持って帰った。
この時以来購入する気がなかったら一切訪問販売の相手をしないと決めた。
ところで現行の法律では訪問販売は契約日から8日以内であればクーリングオフ(契約解除)が可能だ。
しつこい訪問販売にもし契約してしまっても一人でなやまず子供や近隣の知人に相談してほしい。