人手不足が叫ばれて久しい。
高齢化が進んでいるとはいえ労働者人口が極端に減っているとも考え難くい。
昨今の人手不足が深刻な業界は東京オリンピックを控えて活況を呈する建設業界。
またブラックワーク業界として定着しそうな運送業界。
ホテルや旅館などのサービス業など広範囲の分野で人手が不足している。
ところが今朝の求人広告を見てみるとその業界での「正社員」の求人はほとんどない。
あえて言うなら運送業界の「ドライバー」募集で「正社員」の求人があった程度だ。
人手不足を言いながらも必要としている人材は限定されている。
パートやアルバイト、そして「派遣社員」や「契約社員」などの非正規雇用と呼ばれる人達の求人が中心なのだ。
もちろん新聞の求人広告に掲載されないITや医療などの専門職の求人は活況だろう。
ただ社会全体として求人の現状はこうなのだ。
実は今年の年末、あの「年越し派遣村」が復活するのではないかと言われている。
2015年に改正労働者派遣法」が今年の9月30日に丸3年を迎えた。
「改正労働者派遣法」では派遣社員の派遣先(労働する側の会社)への受入れを3年とした。
しいては派遣先の企業は3年を超えたら「直接雇用」の義務が生じる。
もちろん人件費を圧縮するために派遣社員を受け入れているわけだから、ほとんどの企業がこの条件を飲むわけがない。
という事で派遣労働者には選択肢が残り3つある。
ひとつは派遣元(仕事を斡旋する側の会社)に新しい受入れ企業を紹介してもらう事だ。
ということは仮にこの企業で働くことができても2年10ヶ月先あたりでまた同じ選択をする事になる。
もうひとつは派遣元(仕事を斡旋する側の会社)において「無期雇用」をさせてもらう事だ。
ただ派遣会社で現在余力のある会社は少なくこの選択肢がかなう可能性もかなり低いと思われる。
そして最後がかなり曖昧だが、「その他で安定した雇用の継続が認められる措置」というものだ。
これは結局、二番目の他の企業を紹介してもらい2年10ヶ月先あたりでまた同じ選択をする事と同じことになる。
国が派遣社員の救済のために施行した法律が返って派遣社員の首を絞めることになっている。
人手不足の要因それはつまり非正規労働者の循環に無理が生じ始めている事でもある。
政治家や役人は今年末の「年越し派遣村」の現状を見て今一度法律のあり方を考えるべきだろう。