地方にお住まいの方で東京に出てきて地下鉄の乗り方に困った方は必ずいるはずだ。
この複雑さの一つに地下鉄と民営鉄道、JRとの「相互直通運転」がある。
東京市が民営鉄道の山手線内へ路線延長を一切許さなかったことについては、前回触れたがその条件として民営鉄道と地下鉄との直通運転が1950年代から計画されていたからだ。
都市計画とはこうあるべきだと思う。
ただ経営母体が違う会社同士が相互に乗り入れることには並々ならぬ苦労があったと思う。
ちなみにこの「相互直通運転」は世界的にも珍しく海外から鉄道事業者の見学申し込みが絶えないらしい。
一般的には地下鉄路線をBとした場合に、民営鉄道Aとその反対側に位置する民営鉄道Cの組み合わせが多い。
ただし民営鉄道Aの始発駅から出発した車両の終点は地下鉄路線Bの終点駅の場合が多く、ABC三社にまたがる運転は当初はしていなかった。
ところが最近では利用者の利便性を考慮して民営鉄道Aの始発駅から出発して地下鉄路線Bを経由して民営鉄道Cの終着駅に走らせるタイプも増えている。
地下鉄路線をBを媒体にして民営鉄道Aと民営鉄道Cが一本の路線として繋がっているわけだ。
でも都内の都心部では行先表記が都内にないため非常にわかり難くなってしまう難点があり、これが地方からいらした人達を混乱させる要因になっている。
そもそも民営鉄道側のメリットは理解できる。
都心部に入っていけるのは郊外から客を運んでくる自社路線の付加価値があがるからだ。
地下鉄側のメリットは何なのか?
それは車庫を都心部ではなく郊外に作れるからだ。
ただでさえ建設コストのかかる地下鉄で地下部分に車庫を作るのは現実的ではない。
「相互直通運転」をしていない銀座線や丸ノ内線の車庫を見てもその苦労がわかる。
山手線内の車庫は丸ノ内線の茗荷谷駅付近にある「小石川車両基地」のみだ。
銀座線の車庫は上野駅の北東に昭和通りと並行してやっと確保できたという感じだ。
こちらの車庫は面白くて地下鉄唯一の「踏切」がある。
普段は車庫側の遮断機が閉まっており出庫の際のみ開く仕組みになっている。
銀座線と丸ノ内線は「第三軌条」と呼ばれる車輪の横から集電する仕組みになっておりフェンスの向こうに線路脇に高電圧が流れている。
興味のある方は行ってみてはいかがだろうか?
上野駅から徒歩5分ぐらいだ。