最近、名古屋で「4M(ヨンエム)」が崩壊した事はご存じだろうか?
名古屋の人にとっての「4M」とは4軒の百貨店の事を指す。
名古屋市内には6月30日まで「松阪屋」、「名鉄百貨店」、「丸栄」、「三越」の頭文字すべてが「M」の百貨店があった。
その一角にあった「丸栄」が業績不振により、2018年6月30日に「十一屋呉服店」から数えると403年の歴史に幕を下ろす事になったのだ。
実をいうとこの「4M」という言葉は2000年には「4M1T(ヨンエムイチティー)」という言葉に変わっていた。
JR名古屋駅のツインタワーの下に「ジェイアール名古屋タカシマヤ」が開業したからだ。
栄は東京でいうところの「銀座」で名古屋の商業地として激戦区だ。
松阪屋は名古屋市栄の本店を構える全国区の地元百貨店だ。
また三越はご存じの通り東京日本橋に本店をおく日本でもトップクラスの百貨店だ。
名鉄百貨店は栄での競争は「メルサ」にまかせてあえて名古屋駅前に本店を置いてある。
丸栄はそのメルサの西隣に立地していた。
立地としては決して悪くない。
後は商品力の差かもしくはローカル色が強すぎたのかもしれない。
名鉄を除く後の三店は皆全国区の有力百貨店だ。
いくら巨大な名古屋の商圏でも5店舗は過剰だったのかもしれない。
ところで後発組が不利なイメージがある百貨店の新規出店だが、このところのJRがらみの大都市出店は大きな成果をあげている。
京都駅にある高島屋京都店は京都の激戦区である四条河原町から京都駅へと人の流れを変えたと言われている。
京都の人にとってJR京都駅はかなり京都中心部外れに立地しているイメージのようだ。
この流れを変えるというのは大変な事だたと思う。
そういう意味においてはこの「ジェイアール名古屋タカシマヤ」はもっとも成功している。
2017年の全国百貨店別売上高ランキングで1286億円で8位につけている。
上位は伊勢丹新宿店、阪急うめだ店、西武池袋店、三越日本橋店、高島屋日本橋店、高島屋大阪店、高島屋横浜店とそうそうたるメンバーが並んでいる。
この勢いが丸栄の業績不振の直接要因かは不明だ。
ただ名古屋という大都市といえども購買力のパイは無限ではないはずだ。
今後、地方のそれなりの規模の都市にない百貨店は淘汰が進むと思われる。
どちらにしても百貨店の厳しい状況は変わらないのだ。