時刻表といえば良くでてくるのが鉄道をテーマにした「サスペンスドラマ」だ。
古くは松本清張の推理小説「点と線」がはしりなのかもしれない。
東京駅では電車が出入りが激しくホームからお隣のホームにいた人の目撃談を覆して事件解決をしたてた推理小説だった。
その後、西村京太郎などが鉄道の時刻表などを使ったトラベルミステリー作家として一世を風靡している。
そう鉄道はその時間の正確さゆえにミステリー小説になりやすいのだ。
この手の話題でよくでてくるのが、「ある人が乗っていた電車を降りて、他の交通機関を使わずに再び先の駅で乗っていた電車に乗る事ができた」というものだ。
このネタの舞台となるのは、鉄道好きには有名な長野県飯田市だ。
JR東海の飯田線は天竜川沿いに伊那谷を進むローカル線だ。
秘境駅が多いことでも有名な飯田線はもともと私鉄が前身だった事もあり駅間が非常に短い。
この飯田市内には飯田線の駅が15ヶ所もある。
実はこの駅の多さがこのトリックを生んでいるともいえる。
まずはYahoo!の地図も開いて飯田市を見てほしい。
駒ヶ根方面から来た路線は「伊那上郷駅」から進路を西にとり、飯田市の中心駅である「飯田駅」に向かい、ぐるっとまわって「下山村駅」から再び南下を始める。
例えば「伊那上郷駅」をAM9:30に出発した電車は「下山村駅」に着くのが19分後のAM9:49分だ。
この「伊那上郷駅」から「下山村駅」まではおよそ2.2kmだ。
歩いていては間に合わないが部分的に走れば間に合わない距離ではない。
という事である犯人が「伊那上郷駅」付近で犯罪を起こしてタクシーで「下山村駅」まで行って再び同じ電車にのれば空白の19分ができる。
つまりアリバイ工作が出来たというわけだ。
実際、鉄道ミステリー小説はこんな単純な路線は使わないが時刻表ではこのような楽しみ方もできる。
ところでこの飯田線に関するうんちくをもう一つ紹介する。
飯田線は豊橋駅手前で「名鉄名古屋本線」の線路を借用して豊橋駅に到着する。
逆に名鉄線の電車は下り名古屋方面へはJR東海飯田線の線路を借用して飯田線の分岐まで走っている。
これは飯田線の前身のひとつである「豊川鉄道」と名鉄が協定を結んだもので、JRになった今も継承されているものだ。
ただし飯田線の駅である「下地駅」と「船町駅」には停まらない。
「事実は小説より奇なり」
今度の週末は飯田線に乗ってみますか?