近畿圏にお住まいの方も含めて、「大和西大寺駅」の位置関係がぱっと思いつく方は近鉄奈良線もしくは近鉄京都線沿線にお住まいの方、もしくは鉄道が好きな方だと思われる。
実はこの駅は知る人ぞ知る非常に忙しい駅なのだ。
この駅は奈良市にある近鉄奈良駅を西側に指で辿ってもらえば簡単に到達できる。
近鉄奈良線、近鉄京都線、近鉄橿原線が乗り入れる近畿鉄道でも重要な駅のひとつだ。
乗降客数は一日あたりおよそ46、500で人近鉄でもベスト10をうかがう位置にあるターミナルだ。
地図上では近鉄奈良線と近鉄京都線が交錯しているように見えるが、あくまでも近鉄奈良線に北側から寄り添うのが近鉄京都線で、南側から寄り添ってくるのが近鉄橿原線だ。
ただ近鉄特有の複雑なダイヤ編成により近鉄京都線から伊勢志摩方面の「特急しまかぜ」や近鉄奈良駅方面、近鉄天理駅行きが入ってくるので実質的には交錯して運転されている。
そこに輪をかけて複雑にしているのが、この大和西大寺駅止まりの電車だ。
駅の南側の近鉄橿原線の東側に配置されている車庫への出入りも加わり、ラッシュアワーの時間帯にはこの駅を中心に5方向から
電車が入り乱れる様相を呈する。
特に鉄道ファンには駅北西にある踏切の光景が人気で、Youtubeにもたくさんの動画がアップされているのは、興味のある方は検索窓に「大和西大寺駅」といれてもらえば堪能してもらえると思う。
近鉄はJRを除く民鉄としては日本最長の路線網(501km)を持つ。
その特長として核となる主要ターミナル都市が三つ(大阪、京都、名古屋)もある事だ。
関東も含めた一般的な民鉄は都市と観光地、都市と都市という構造が一般的だ。
例えば京成電鉄なら東京と成田、小田急電鉄なら東京と箱根といった具合だ。
ところが近鉄はこの三つの核都市に加えて伊勢志摩という観光地もおさえて、四巴の鉄道ネットワークを作ったところに先見の明を感じる。
だから四方向から走ってくる車両をこの大和西大寺駅など中間の駅がうまくさばいてあげる必要性が生まれてくるのだ。
実をいうと近畿圏の自動改札などは関東よりもかなり早く導入された。
また「駅ビル」や「ターミナルデパート」の概念は阪急グループの小林一三のアイデアだ。
鉄道事業に関しては近畿圏は日本の最先端を行っているといっても過言ではない。
大和西大寺駅はそんな関西の鉄道事業を支える近鉄の産物だ。