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シニアのための現代用語備忘録

エトセトラ

国内唯一の飛地村

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飛び地というのは日本全国に結構ある。

でもそれは一部の町名などが隣接の市町村の残るものがほとんどだ。

ところが四方を他県に囲まれている完全飛地な自治体があることをご存じだろうか?

Yahooの地図でまず三重県の熊野市を呼び出す。

そのまま北西に移動すると一見、三重県もしくは奈良県に属するであろうと思われる「北山村」に辿り着く。

実はこの「北山村」は和歌山県東牟婁郡の属する自治体で周囲を奈良県吉野郡下北山村、十津川村と三重県熊野市に囲まれており、和歌山県内との自治体の隣接は一切ない。

日本国内においては唯一の飛地村だ。

ちなみに隣接する十津川村は琵琶湖(669.23km2)や東京23区(621.98km2)より広く、北方領土を除けば日本一の面積を誇る事で有名な村だ。

この飛び地の村ができた背景には、和歌山県新宮市が関係している。

この地を流れる北山川は古来から林業を生業としてきた北山村の人々にとって重要な交通路だった。

木材を北山川に流して下流の新宮の商人と取引していたというわけだ。

そのため新宮との結びつきが強く江戸時代には紀州藩新宮領に組み込まれる事になる。

その後廃藩置県の際にはその結びつきから和歌山県の編入を望み、合併もなく現在に至っている。

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現在は林業の衰退により新宮市より近い三重県熊野市との結びつきが強くなっているようだ。

平成の大合併の際には三重県編入に関する住民投票も行われたが最終的には従来通りの和歌山県で落ち着いた。

三重県に属することになっても基本的には住民の生活(住所変更の連絡等はあるだろうが)には何も影響はない。

であれば祖先が選んできた道を継承した形だろう。

現代のように情報網が発達していなかった時代には、道や川などの交通インフラが経済の繋がりを作っていたんだと思う。

ところでこの「飛地」だが世界レベルになるとなかなか凄いところがでてくる。

「世界一安い買い物」と称されてアラスカはアメリカがロシア帝国から720万ドルで購入したと言われている。

アメリカの面積の15%を占める広大な飛地だ。

イギリスが領有するジブラルタルはスペインの南部にイベリア半島の最南端にある良港だ。

アフリカ大陸を望むこの地は戦略的要衝の地でありイギリスが手放すことのない飛地だ。

国家レベルの飛地や政治や宗教が絡んで紛争の原因にもなりかなり複雑だ。

ある意味北川村は平和であり幸せな飛地なのかもしれない。

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