最近、奨学金の返済不能が問題になっている。
過去5年間で国の奨学金を返すことができず、自己破産にいたったケースは15、000人にのぼる。
もちろん自己破産したらからといって、借金がいきなりチャラになるわけではない。
多くの人が親や親戚に保証人を依頼しているので、債務はそちらに移る。
親はまだしも叔父、叔母にいたっては親族ゆえの善意が仇になってしまった形で非常に気の毒だ。
この奨学金の窓口になっているのが旧日本育英会から改組した「日本学生支援機構」だ。
無担保・無審査ながら連帯保証人(親)と保証人(4親等)は必須となっている。
この二人の保証人がいるかぎり比較的安全な債権と呼べるのではないだろうか?
ちなみにその貸与金額だが、自宅外から私立大学に通う学生には月額64、000円が48ヶ月(4年間)で総額3、072、000円にもなる。
学生は卒業後、216回(18年)かけて毎月14、222円を支払う事になる。
この事例については、無利子だが有利子の貸与もあるようだ。
実をいうとかくいう自分も育英会の奨学金を返済していた口だ。
確か40歳前にボーナスで繰りあげ返済した記憶がある。
誤解を恐れずに言えば、日本は実力主義といいながら「学歴の壁」は確実にある。
「大学卒業」という肩書は必要な人にとっては最低限のラインなのかもしれない。
ただ奨学金という「借金」をしてまで行った大学の卒業後が問題だ。
人手不足が騒がれて久しいが、本当に足りていないのは、「非正規雇用の労働者」だ。
就職で正規雇用に漏れた学生がこの非正規雇用労働に流れ込むと負のスパイラル地獄に落ちてしまう。
またなかにはまともな就職をしたのに、はなからこの借金を踏み倒そうする輩もいる。
こうなると「日本学生支援機構」も債権回収のために裁判に持ち込まざるえない。
一説による東京大学の合格者の世帯年収が950万円を超える家が過半数を占めているとのデータがある。
昨今話題になっている「貧困の連鎖」もうすでに始まっていたのだ。
「貧しい家庭の子供はその貧しさを引き継ぐ」その逆の「裕福な家庭の子供はその裕福さを引き継ぐ」というものだ。
この奨学金の返済不能問題の問題点は「奨学金」という名称にあると思われる。
はっきりと「奨学金ローン」と位置づけ、これはあくまでも借金ですよという認識を本人にもまた保証人にも持たせるべきだと思う。
昔遊んだボードゲームの「人生ゲーム」を思いだした。
奨学金は、スタートで進学コースを選んだ人があの赤い「約束手形」を数十枚持って人生を旅するようなものだ。