「不織布」なる言葉をご存じだろうか?
聞いた事がない人でもまず身近なところで接していると思われる。
例えば安価なトートバッグ、台所の三角コーナーの袋、生理用品、マスク、紙おむつ等々挙げだしたらキリがない。
皆さんそれを十把一絡げで「紙」と称しているが、紙と呼ぶにはあまりにも失礼な高機能な素材なのだ。
「不織布」は発祥の地ドイツでは、「Non-woven Textil(織っていない布地)」をそのまま漢字に変えたものだ。
通常、布地というものは経糸と横糸で織ったものを言う。
織った事により強度を得て素材となる。
ところが不織布は織らないのだから、繊維同士を固定するため手段が必要になる。
そのため素材とその固定手段により種類分けされているのだ。
「不織布」とはかなり広義な捉え方だと思っていただいて間違いない。
まず素材に関して有名なところでは、ナイロン、ポリエステル、PP(ポリプロピレン)、レーヨン、またコットン(綿)などもある。
そしてこの素材を固定するための手法は、水の力で繊維を絡ませる湿式法や繊維自体を溶かして長繊維状にしてシート状にするスパンボンド法、また返しのある針で繊維を絡ませるニードルパンチ法などがある。
ニードルパンチの手法はもともとフェルトなどを作る時に用いられた古典的な加工法の延長上にある。
これだけでも不織布の種類は相当数になる計算だ。
では何故、布地ではなく「不織布」を使うのか?
それはコスト面が一番の要因だ。
またいろいろな機能を持たせる事ができる。
保温効果、吸水効果、その他「防音効果」のあるものまである。
最近流行りのフローリングワイパーももちろん不織布だ。
毛やほこりを絡めとる機能性がある。
どちらかというと「使い捨て」の商品が多いのも「不織布」の特徴だ。
中国では日本の紙おむつだ大人気だ。
その理由は肌さわりや吸水性などの品質の良さだ。
もちろんこのクオリティーは日本の不織布メーカーが支えている。
戦後、日本の産業の花形はユニチカや旭化成、東レなどの繊維産業だった。
そして今その形を変えて繊維産業が復活しているのは嬉しい限りだ。
日本企業は決して劣化コピーはしない。
必ずその品質をあげて商品化していくのが強みだ。
今一度まわりにある不織布を見つけてほしい。
たぶんあなたのまわりには相当数の不織布が溢れているはずだ。